アモイ 中国からフェリーで台湾に行く旅 4

バスに乗って、連れに今回の旅の旅程を話す。
実は、忙しさにかまけて、まともにスケジュールすら詰められていなかった。
決まっているのは帰りの電車のチケットだけ。
明日の宿すら今から決める始末。
しかし、世の中、この10年でがらりと変わっている。
今や、移動しながらホテルを探して予約までできちゃう。
Booking.comにAgoda、AirbnbにHostel world。
もはや、ガイドブックとか持って旅行するのはバカバカしいわけだけど、
やっぱり売り上げとか減ってるんだろうね。地球の歩き方とか。
ここで、僕の壮大な計画について打ち明ける。
実は、目的地はアモイでは無くて、台湾だったんだ。
台湾に行こう。
「えーアモイから行けるの?聞いてないよ!」
ふふふ、実はすごく近いんだよ。
「楽しみ―」
台湾に行ったことないって言ってたもんね
「あ、でも私、台湾行けない。パスポート無いもん。」
え?
パスポート無いなんて有りえないでしょ?
「だって、香港人は、通行証があれば中国に来れるから、パスポート必要ないもの」
がびーん。
今回の旅の目的、開始10分で終了。
どうしてくれんだよ!いまから5泊6日もどうやって時間潰せばいいんだよ!
アモイなんかにそんな長くいたら気が狂っちまうよ!やることないよ!
そもそもアモイなんか行きたくねーよ!
パスポート取りに帰ってこい!
いや、もういい、僕一人で台湾に行く!お前はアモイ待機だ!
でも、確かに、伝えてなかったわ、、僕。
どうしてちっさい本一つで行けるか行けないか決められなきゃならないんだ!
なんて不条理な世の中だ!ポイズン!
行きたいとこも行けないこんな世の中じゃ!ポイズン!
でも、、、僕、、、伝えてなかったわ、、。
頭で駆け巡る思考。
これが口から流れ出てきた瞬間に楽しい旅が終わる確信。
冷静に。
金門島、、、僕、、、そんな行きたかったっけ?
俺は俺をだます、ことなく生きていく。ポイズン!
いや、行きたくないよね?
だって、大切なのは中国を旅することだけで、目的地はこじつけですから。
とりあえず寝よう。
かすかに残る殺意を胸に、僕は眠りにつく。


、目が覚めたら明け方だった。

僕たちが寝ている間も、バスはちゃんと目的地目指して進んでくれていた。

ちかくの山は壮大。

僕たちは遠くに向かってずっとずっと走っている。
目的地は、住んでいるところからずっと離れたところにある。
そう、この感じ。これを感じたくて、僕はわざわざバスに乗るんだ。


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