福建 土楼への旅 3 出発

今回の旅は予定通りいけば5泊6日の日程になる。
香港を出発して、陸路で福建の土楼を目指し、土楼に泊まって、それでまた陸路で帰ってくる。
超シンプル。
旅に出るときは、若干の不安とワクワク、何となく浮き足立つ。
いつもの相棒グレゴリーのバックパックに着替えとか、本とか、歯磨きとか色々詰め込む。
軽くするはずだったのに気づいたらいつもパンパンになる。
中国ではどういうところに泊まるかわからないから、石鹸、シャワー、リンス、洗面用具は必須。
でもまあ、金とパスポートさえあれば結局なんとかなる。
だめだと思うんだけど、未だに「地球の歩き方」のお世話になっちゃうんだよな。
そういうガイドブックに頼ると、みんながみんな同じルートをたどり、同じものを見て、同じ所に泊まることになってしまう。
自由なはずの旅が、気づいたら、パッケージ旅行と変わらなくなってる。
自分で手配しなきゃいけなくて、手間が増えるだけさらに悪い。
でも「地球の歩き方」の「広州 アモイ 桂林 珠江デルタと華南地方」編は最低レベルの質と量。
最低限の情報しか載っていない。
だから香港周辺を旅するときはいつも手探りだ。
それがかえって旅を楽しくしてくれる。
一人旅の醍醐味は、試行錯誤できるところ、失敗ができるところだ。
夕方過ぎ、香港を出で、まずは深センに向けて出発した。
深センまではいつも通りMTRで行く。香港島からはだいたい2時間くらいで、中国に入ることができる。
香港「羅湖」駅のイミグレを通った先は、深セン駅。
到着は9時過ぎ。
今日の目標は龍岩行きのバスを見つけること、可能なら夜行バスで目的地を目指すこと。
深セン駅周辺には何度も来たことがある。
長距離バスは、イミグレの建物を出て、すぐ左、エスカレーターを登って、線路を跨いだ先にある。
以前、桂林に行った時もこのバスターミナルを利用した。その時の記事はこちら↓
「桂林旅行 4泊4日一人旅 ④ 陽朔への道のりは遠い」 
今回は勝手が違った。バス、全然ない。まず、龍岩行きのバスは全くない。
深夜バスがないとかじゃなくて、そもそもバス自体が無い。
龍岩に行けなくても他に方法はある。
アモイ(厦門)に行って、そこから土楼を目指す。
だけど、アモイ行きも満席、、、、。明日昼の便ですら満席、、、、。
深センに数日間足止め?それバカすぎでしょ。
途方に暮れて、広場まで戻ると、ショッピングセンターの一階にいくつか旅行代理店があることに気付いた。
お兄さんに確認すると、翌日アモイ行き12:30発のバスが350元であるとのこと。
なるほど、正規のバスの数は限られてる。
それ以外でも、民間のバスがあるのだ。なにせバス一台あれば仕事ができるのだから。
アモイは中国人にとってかなりメジャーな観光地。
いろんな民間の旅行会社も便を走らせているに違いない。
お兄さん「アモイ行きは人気だからもう残りわずか、今買わないとチケットなくなるよ?
今ならギリギリ手に入るよ!買うなら今だよ!」
僕は知っている。もう嫌というほど失敗した。
焦っている時、時間に追われているとき、僕は冷静な判断ができなくなる。
そういう時こそ一番冷静にならなきゃいけない。
少なくとも今ここで買えば、明日アモイには行ける。アモイからまたバスを探して土楼の地域に行けばいい。
そうすると、到着は早くて明後日か。
だけど350元。もう5千円超え。この金額ってはたして安いんだろうか。高いんじゃないだろうか。
ぼくはチケットを買わない決断をした。
ネットサーフィンをしていて、銀湖バスターミナルという場所が深センで最も省外行きのバスの発着数が多いターミナルだという、
情報を入手していた。
かなり古い情報だし、確証はなかったけど、そっちを目指そう。
時刻は10時。終バスの時間。一度、銀湖バスターミナルに行ったら、タクシーでなきゃここまで戻ってこれない。
戻ってこれても旅行会社は閉まっているだろう。
最悪、銀湖バスターミナルでチケットを買えなかったら、翌朝一番にここに戻ってくればいいだろう。
それに銀湖バスターミナルというところに僕は興味があった。
そこに行けば、ぼくはどこに行けるんだろう。そっちのほうが知りたかった。
イミグレの建物をでて、まっすぐ50メートル進んでいくと、深セン市内を走るバスの停留所に着く。

終バスはだいたい夜10時~11時くらいだ。

7番バスに乗れば、銀湖バスステーションに着けると警察官のお兄さんが教えてくれた。
終バスは10時。ギリギリ終バスに乗り込んだ。

どんなところだろう。ドキドキしながら向かう。大きなバスターミナルだから何人かきっと降りるだろうし、栄えているはず。。
バスを降りたのは僕と、リュックサックを背負った何とも土地勘のなさそうな男だけだった。
そして僕はすぐに一人取り残された。
なんと、銀湖バスターミナルは工事中。
マジか。
周りは殺風景で特に何もない。
とりあえず繁華街ではない。
人がいない。
若干怖い。
バスターミナル、やってないの?
ここに取り残されちゃったの、、?
仕方ないので、工事現場の仮設壁に沿って歩く。
迂回して歩くと、深センバス駅というビルにたどり着いた。とりあえず、建物はまだ壊されてなかった。。
どうやら正面だけリノベーション中らしい。
何人かたむろしている若い兄ちゃんがいる。

中に入って、切符売り場に行くと、当然だけど人は誰もいなかった。
いや、入る前からわかってましたよ。この雰囲気だもん。
だけど、このバスステーションはやっている!
自動券売機みたいなものを発見した。
使い方は全く分からないけど、何とか漢字を類推しながらボタンを押してみるに、
龍岩行きのバスが朝7時20分に一便だけあり、明日のチケットもどうやら手に入りそうだということがわかった。
ここでバスターミナルが開く朝まで待てば、明日さっそく龍岩に行けそう!!
深セン駅ではアモイ行きしかなかった。
龍岩に行けるのはでかい。
あとは明日の朝まで待つだけだ。
この辺の宿を探そう。
世の中には、こういう無計画な人間の受け皿もしっかりあって、
バスステーション周辺には、宿の看板がいくつか出ていることを確認した。
一泊80元。悪くない。
こういう場所にいると、必ずおばちゃんが声をかけてくる。
宿の客引きだ。
というか、宿ですらなく、自分たちの家に泊めようとするおばちゃんたちだ。
「知らない人についてっちゃだめ!」
子供のころ、外に遊びに行くとき、真っ先に親から教えてもらったこのことば、ぼくは今でもしっかり覚えている。
ついてっちゃだめだから!
こんな旅のしょっぱなから危ない橋を渡る必要ないんだから!
おばちゃんが、あまりにしつこいので、おっかなびっくりついていった。意志弱し!
だって1泊50元。それにもう12時近く。
あと5時間くらい休ませてくれて、ケータイの充電ができるところなら、どこでもいいのよ。
それに、おばちゃんの家がどうなってるのか、興味があった。
その興味に僕は勝てなかった。
おばちゃん「駅からすぐだから!もうすぐそこだから!」
そして、僕は暗い道を連れられて行く。
まあ、悪い人だったら、この時点でアウトですね。

結局、バスターミナルのすぐ後ろにあるこのマンションに連れてこられた。
どうしてこんなに不気味に立てられるの!?

暗闇の中、マンションに入っていく。

この先がおばちゃんの居住地らしい。お化け屋敷じゃないんだから。

でもやっぱりふつうのお家でした。
ロビーには家族と思われる女性が2人。1人は若め。その時点で安心する。
しかし、こんな女性ばっかりのところに男を泊めていいのかね。

奥の部屋を板で三つぐらいに区切って、宿泊客に提供しているらしい。
当然、シャワーとかトイレは家族と共用。
この4畳くらいのスペースが今日の寝床。十分すぎです。だって布団思ったよりきれいだし、充電できるもの!
隣部屋とを隔てる仮設板の上が開いていて、電気をつけていると隣の人に申し訳ない。不便なのはそのくらいだ。
僕にとってはケータイを安心して朝まで充電できる。それだけで幸せ。

この小さな部屋の布団に横になって、ぼくの旅一日目は終わった。
この旅はとても楽しくなりそうな予感がした。


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