たぶん、ぼくはこの景色を見るために、2日もかけてここまで来たんだな。
土楼の手前には川が流れている。
いくらなんでも、映画的にできすぎた光景。
いつだったっけ。とてもとてもきれいな自然の景色を前に、僕の友達はこう言った。
「すごーい、CGみたーい」
画面の向こうにしか、きれいな自然を見たことがない人は、本物がどのくらいなのか知らない。
作り物の映画のほうが現実より綺麗に決まってるし、壮大に決まってるし、すごいに決まってるという先入観を持つようになる。
そうでもないんだよね。世界は思ったよりも綺麗だし、壮大だし、すごい。
この村は、なんか思ったよりもずっと村だった。
土楼の真ん中に置いてある卓球台。
張り巡らされてる洗濯紐。
置いてある自動洗濯機。
ふつうなら、もう少し雰囲気を出すために隠すはずのものが、そこに置いてあって、逆にリアルな生活の匂いがする。
入り口では、暇だからやってます、的な感じでこの辺の土楼の住人と思われる人が茶を売ってる。
実演販売で、タダで何杯も飲ませてくれる。甘くて、とてもおいしかった。
それでも別に買えと強要されるわけでもない。
中と外で見つめ合う。
立ち並ぶパラボナアンテナ
この鳥は何?鳥といったらニワトリの日本人には、これが何者なのかわからない。
ここが、この村のメインの土楼。集慶楼。
最大の円楼は590年の歴史があり、直径66m。4階建、各階56部屋。
至る所にこれでもかというくらい階段があるのが特徴。
その理由は、たぶん、垂直に切られた18区画それぞれで所有者が違ったから。
ここは博物館的役割も果たしていて、今は人が住んでいないみたい。
これ、名前がいい。秘密通道。日本人でもわかるぜ。
一部分だけ薄いところを作っておいて、非常時にはここを壊して脱出する仕組み。
秘密通道が貫通した時は、絶体絶命ということ。
麻雀牌がある。大きさが日本の牌と同じくらい。昔は中国の牌も小さかったんだね。
村の中も散策してみよう。
土楼住宿って書いてある。ここなら、ほんとに土楼に住めるみたいだ。わざわざ移り住むもの好きはいるかな。
すごい。
あ!!!
丘の上には小学校もあった。
こんなのが動くんだね。
土楼の中から眺める空。青い空がずっと青く見える。
いくつも土楼を見て回って、一つわかったことがある。
細かい違いはあるかもしれないけど、
どれもだいたい同じ。