初渓土楼群景区を後にして、宿に戻ってきた。これが僕の宿。
近くに天后宮がある。こういうの、香港にもたくさんある。
観光客も減って、のどかな夕方の時間が過ぎていく。
夕日に照らされて赤く染まる土楼。徐々に、徐々に、陽に当たるところが狭まっていって、中の世界は取り残されていく。
そういえば、まだ夕飯を食っていなかったことを思い出した。
お姉さんにどこで飯が食えるのかと聞くと、玉成楼という土楼に行けばいいとのこと。
何度も人に聞きながら、その場所を目指す。
到着したのはここだった。
はじめこの村に着いたとき、強引に連れてこられて泊めさせられそうになり、逃げたところだ。
まさかここがレストランとは。
なかに入ると、ここの家族らしき方々はみんな自分たちの食事中だった。
一応、客として来ているんだけど、非常に申し訳ない気持ちになる。
でも、丁度ごはん時だし、僕は悪いことしてないよね、、?
あの、ツーリストインフォメーションで出会ったガイドさんもやっぱり、一緒に飯を食っていた。
案内で自分の家に連れてきやがって。
そんなガイドのお姉さんが結局注文を取ってくれた。
さっきはごめんね。代わりにご飯をたくさん食べますと伝えた。
この地域は客家の人たちが住んでいたはず。なので、料理も客家料理だ。
どんなものが食べられるのか、正直全くわからなかったのでドキドキしていた。
お勧めをお願いして出てきたのがこれ。
いや、実はガイドのお姉さんはメニューに載っている中で一番高いやつがお勧めだと言っていたけど、
次にお勧めなのは何かと聞いて出てきたのがこれ。
正直、しょっぱくて、全然おいしいとは思えなかった。
しょっぱいのは、貧しい地域にはいいと思う。なんせ、ちょっとのおかずで沢山ごはんが食べれるから。
でも、それならそうで、沢山はいらない。
夕食は100元、約1800円だった。随分高い。結局、この土楼には今夜の宿泊代以上の金を払ったから、
これでもう後ろめたさは何もない。
そして土楼の夜は更けていく。
夜になれば土楼も戸締りをする。戸締りをすると、どこからどこまでが、どこの家庭の敷地だったのかがわかる。
ここには、きれいな水洗トイレも、温水シャワーもついていた。
それが、ここに住む人たちが観光地化したおかげで手に入れたものなんだろう。
笑顔の素敵なお姉さんには、小さな子供がいた。
旦那さんもいるんだろうけど、せっせとこの振成楼の家庭を切り盛りして、昼間はガイドとしても働いているみたいだった。
こんな田舎で、素敵な奥さんをもらえて、
先祖のおかげでお金も入ってきて、のんびりとした生活ができて、
そんな人生も悪くないんだろうな。
部屋にいてもやることはないから、
土楼の外壁の石に座って街灯の光に照らされながらずっと中国語の勉強をしていた。
村の人たちも特にやることはないのに、夜遅くまで世間話をしている。
ここの村の人たちは随分夜更かしだなと思った。