おそらく、香港に何年住んでいる人のほとんどがここには来たことがないであろう。
チェーコン廟とは、いったい何なのか、何を目的としてここに存在しているのか。
その答えはこの赤い碑に刻まれていた。
チェーコン(車公)は献身的な活動を行った宋代の将軍が神格化された神様です。
シャンティンのチェーコン廟は約100年前にティンサム村の住民達が建立したもので、
洪水から地域を守り、疫病の広がりを奇跡的に止めたといわれます。
その後、この廟はシャティン地区全体の共用寺院となりました。
過去100年の間にチェーコンが幸運をもたらすという評判が着実に広がり、
シャティン以外からの参拝客も集めるようになりました。
特に旧正月に多数の参拝客でにぎわいます。
現在の建物は1993年に建てられたものですが、19世紀の建物も現在の建物の後部に保存されており、
チャーコンがシャティン地区の人々の守護神であると書かれた入り口の柱などが見られます。
境内には回すと幸運が訪れると信じられている銅製の風車が無数にあります。・
シャーティンに行く理由はあまりない。しかし、このチャーコン廟に行くためにあえて向かう。
コーズウェイベイからバス一本で目的地周辺まで行くことができる。
着いた先には広い空が広がっていた。
実は、チャーコン廟。結構有名なところらしい。
車公廟駅という駅が存在しているので、そこを降りるのがアクセスとしては一番容易。
巨大な建物は、チープな映画の特撮現場のよう。
さすが1993年にできただけあって、新しい。
どうして寺は新しければ新しいほど有り難味が無くなるのであろうか。
大切なのは見た目ではない。気持ちだ。
超暇そうな占い師のみなさん。他に仕事がないのであろうか。
境内はわりと広々としている。
おなじみの、にょろにょろ。
ひなびた風車の飾りが沢山かけられていた。どうして風車にご利益ありと認めるに到ったのだろうか。
くるくる回る風車は、どこかチベット仏教を思い出させる。
運気がめぐりめぐってくる、というイメージだろうか。
チャーコンはどんな偉いことをしたのだろう。
車公というくらいだから、予想するに車を発明した人に違いない。
正解はここに書いてあった。
香港ナビ 車公廟
大きな線香が立てられている。大きければ大きいほどご利益があるのだろう。
ここでは先導者なのか、現場作業員なのか、とにかく日雇い労働者のような人が、
線香の番をしていて、線香を買った人に、お祈りのしかたを大声で伝授している。
しかし、何を言っているのかわからないと連れの香港人は言っていた。
そして、なんだかよくわからなそうだけど、日雇い労働者の言われるとおり頭を下げたり、呪文を唱えたりした参拝者は、
最後に線香を立てて、堂の中に入っていく。
するとものの数分もしないうちに、日雇い労働者は線香を撤去して捨ててしまう。
そして、次の客にまた同じように、頭を下げさせたり、呪文を唱えさせ始める。
このベルトコンベアー式参拝を僕は隣で眺めている。
これだけでも、馬鹿らしく思うには十分だった。
堂の中に入るとコワモテの金ぴかおじさんが立っている。
そして由緒正しそうな風車。
なぜか、ここにはタイ語の案内が到るところにあった。
タイ人がたくさんお参りに来ているようであった。
どうしてここにタイ人が集まってくるのか。
僕は知らないけど、なんだか知らないけれど、きっと車公はタイに何か素晴らしきことをしたに違いないと思った。
そうでなく、もしかしたらタイ人は車好きなのかもしれない。
それで、車公という文字だけに釣られてきたら、こういう状況、みたいな。
チャーコンという単語が、タイ語では結構卑猥な意味なのかもしれない。
タイの有名ガイドブックが、間違えてチャーコン廟を結構メインのところに載せてしまったのかもしれない。
ここが、タイの有名なドラマの撮影で使われたのかもしれない。
知らなかったけど、タイ人ってめちゃめちゃ風車好きなのかもしれない。
日本人が風車といえば、まず弥七。
日本では車公のイメージが定着するのは難しいだろう。