ベッドバグ地獄の宿 – YES INN HK

僕はこの宿が結構好きだった。

香港の狭いゲストハウス界の中ではかなり大きなゲストハウスっぽい施設だったからだ。

ここに友人と泊まって語り合った時間は思い出深い。

ただ、もう泊まることは無い。

ベッドバグが怖すぎるから。

ゲストハウスの宿敵とも言えるのが、ベッドバグ。

ようは南京虫。

ベッドに住み着いていて、夜な夜な客が眠るとソロソロ出てきて、

こっそり血を吸って朝になると住処に帰っていく。

ベッドバグに吸われると痒い。めちゃめちゃ痒い。

寝れないくらい痒い。

というか吸われたら痒さで目が覚める。

 

すべてのベッドにベッドバグが住み着いているわけではない、

ということは一応YES INNの名誉のために言っておこうと思う。

ある夜、ベッドバグがむかつき過ぎて、フロントにベッドを換えてもらうようにお願いしたことがある。

フロントスタッフはしぶしぶベッドを換えてくれた。

新しいベッドには南京虫はいなかった。

これは運ゲーである。

でも、そういう運ゲーに賭けたいと僕は思わない。

一度、ベッドバグが住み着いたゲストハウスは、もうベッドバグと共に生きていく宿命を追う。

彼らは狭いところに隠れているので、見つけて殺すことが難しい。

しかも結構な勢いで繁殖する。

だから、運営者はベッドバグを見つけたら即殺す必要がある。

安宿には安宿なりの、そういう場所を転々とする客が訪れる。

そういう人がどこかからかベッドバグを連れてくる。

安宿として運営することを決めたゲストハウスは、極めて重大な経営リスクを背負う。

ベッドバグがいるという評判が立つと、すぐに口コミに書かれ、

旅人はその恐ろしさから、その宿を予約することは決してないからだ。

ゲストハウスを予約するときの最も重要な条件が、

ベッドバグがいないこと

と言っても過言ではないのである。

どうか、ベッドバグを連れてきてくれませんように。

たいてい、その願いは気づかぬうちに裏切られる。

ベッドバグはいつか必ず泊まりに来て、そして二度と帰ってくれない。

この宿にはいいところもたくさんある。

・コーズウェイベイのど真ん中にあって、立地条件が良いこと。

チョンギンマンションと同レベルに安いこと。つまり香港No1クラスの安宿。

施設も割りと充実している。

フロント・ロビー

洗濯機

談話スペースもある

簡単なキッチンスペース

簡単なワークステーション

最も特筆すべきは屋上のテラス。

ここには夜にたくさんの旅人たちが集まって、自分たちの旅ストーリーを語り合っている。

ここで友達を作るのは非常に簡単だ。ただ、英語が使えれば。

旅人たちは、みんな一人か少人数で旅行をしているので、仲間を欲している。

ビール片手にすぐに行動を共にする人を見つけられるだろう。

魅力的な異性に出会える確率も高い。

いわばルイーダの酒場みたいなところだ。

そして、ここが客室。

部屋は広くて、たくさんのベッドバグ付きベッドが並べられている。

問題は、これだけベッドがあって、トイレ・シャワーが一つしかないこと。

宿泊客数あたりのトイレ・シャワー数は結構重要なポイント。

他人と全く異なる時間に行動するなら問題ないけど、

たいてい普通の人間なら使いたい時間が被るから。

左のドアがトイレ・シャワー。ちょっとした流しが付いている。

僕は、朝、忙しかった時にトイレ・シャワーの列を待ちきれなかったので、この流しで、歯磨きをした。

そしたら、欧米人のおっさんに、他人のことを考えて行動しろと、怒られた。

歯磨きは、トイレの中でしなければならない行為だったのかもしれない。

未だに腑に落ちていない。

こういう宿に泊まっているのだ、そのくらいの行為は許されても良かったのではないかと僕は思っている。

でもひょっとしたら欧米人の感覚で歯磨きという行為は、トイレの中ですべき行為だったのかもしれない。

ドミトリ−ベッド 約100HKD/泊

総合得点
立地条件
施設充実度
清潔度
サービス
コスパ

すべての条件は割りと良いのだけど、

ベッドバグがいる。

そのただ一点がきつすぎるので、総合得点1になってしまった。

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