今回の旅の目的は、土楼に泊まること。
それさえ達成できれば、あとはもうどうでもいいと言っても過言じゃない。
旅の目的はシンプルが一番。
じゃないと目的達成に忙しくなって、疲れちゃうし、決まった作業をこなすだけのつまらないものになる。
僕は父親みたいな典型的な、出発時間から帰宅時間まで分刻みで予定の決まった日本人的旅行は嫌いだ。
さて、とりあえず到着した。
けど、さすがにここがメインだけあって、入り口には警備員がいて、チケットを確認される。
なんならパンチみたいなものまで押される。
ここって、こんな管理されてて、テーマパークのメインアトラクションみたいになってて、
正直泊まるの無理じゃね?
その観光客の多さに若干圧倒されて、ビビりながら中に入る。
中は、わりと想像していた通りだった。
一つイメージと違うのは、観光客だらけなことだ。
いや、冷静に考えたらそうなのはわかるよ。でもさ、パンフレットの写真とかには全然人写ってないじゃん。
こうさ、ひっそりとした秘境なのかなみたいな勘違いもしちゃうじゃん。
土楼の壁の内側は、部屋がぐるりと巡っている。
そして、それが四層くらいになっている。
その壁に囲まれた中央のスペースに、さらに二階建ての建物がぐるりと巡っている。
大きな円の中に、小さな円が入っていると言えば想像しやすいかな。
こんな感じ。
さらにその内側、位置的に土楼の円の中心には簡素な祠がある。
一階の建物は、土産物屋になっている。
芸の無いことにどこもかしこも同じ茶ばっか売ってる。よっぽど現地の特産物が茶くらいしかないんだろう。
それか、土楼の置物。こればっかりは、使い道がない。うえにインパクトもないし。いいところがない。
さすがにわざわざ来ても買う気が起きない。
でもね。この土楼。見方を変えれば灰皿っぽいわけ。
灰皿の土楼なら実用的だし、ほしい。
数は少ないけど、ちゃんと売ってた。即買った!25元!
どうして、みんな灰皿の土楼を仕入れて売らないのか疑問だ。
一番使い道があるしお洒落じゃん。
僕は若干期待していた。中に入ればだれか客引きしてくれるんだろうと。
壁に沿ってグルっと一周してみる。
土楼の中には井戸も設置されている。確かにこれなら敵に襲われても籠城できそうだ。
一周したけど、どこにも宿の字が書いてなければ、だれも声をかけてくれない。
明らかにここで土産物屋をしている人は、この土楼の住人っぽい。
でも、急に住人に向かって泊まらせて?っていうのは気後れする。
心折れそう。。。
途方にくれて土楼のど真ん中の石段に腰掛ける。
僕、ここでこんなでかいバックパック背負って座ってるよ。10キロはあるよ。重いよ。疲れたよ。
ほら、明らかに泊まりたそうな顔して座ってるよ。
だって観光客なのに、こんなところでバックパック背負ってるのおかしいじゃん。
ふつう、ディズニーランドにバックパック背負ってくる人いないでしょ?
旅行者なら、テーマパーク入る前にホテルに荷物を置いてくるでしょ?
ここでこうしてるんだから、わかるよね?
ここの住人なら声掛けるよね?
お姉さん「泊まるところ探してるの?」
ひろくん「はい!土楼に泊まりたいです!」
笑顔が超素敵な、お姉さんが声掛けてくれた~~。
お姉さんはこの土楼の一区画を持っている家族の一人らしい。
そう、土楼は一つの世帯が所有しているのではなく、複数の世帯によって共有されているマンションみたいなもの。
この振成楼は主に円を上からみて8等分にできるんだけど、その一つ一つがどうやら所有者が違うみたいだ。
一つの区画は4階建て。ようは4階建ての家が8つくっついて輪っかになっているイメージだろうか。
どこからどこまでが誰の土地なのかよくわからないけど、たぶん住民には明確な線引きがあって、
夜になればしっかりそれぞれの区画で戸締りができるようにもなっている。
お姉さんは自分たち家族の区画の3階に僕を連れてってくれた。
とても気さくで、僕の超初級中国語でも辛抱強くコミュニケーションを取ろうとしてくれる。
はあ、もうこの人にあった時点で、ここに泊まることは決定した。
あてがってもらった部屋から見る景色。
中も十分きれい。もう十分すぎます。
ベットとテレビしかない。それ以外はみんな1階に降りて共同。
だけど青いバケツが置いてある。これは夜のトイレらしい。どんだけズボラなんだ。
中国人は高いところから平気でしょんべんとかしちゃうのかもしれない。
小便くらい降りてするよ。
一泊80元。
土楼に泊まる。
目的は達成された。