洪坑土楼群景区の振成楼を拠点として、僕は土楼観光することになった。
でも、僕が想像していたのの、3倍~5倍くらい、景区はテーマパークだった。
ここにいても、なんか本物に出会った感が無い。
だから、もう少し離れたアクセスの悪いところに行ってみよう。
そう決めて、到着早々、出発することにした。
日が暮れるまでグダグダしてたら、どこにも行けなくなっちゃう。
とりあえず、外に出る。
一番最初に到着した出口付近。
ここに普通の店にしか見えない土楼バス駅がある。
この辺にはバイクを持ってるおっちゃんたちがいて、そのおっちゃんたちは、この辺で適当に人を運んで日銭を稼いでいる。
その人たちの誰かに頼めば、どっかピリオドの向こうに連れてってくれることはわかりきってた。
10元、20元安くするために交渉するのも面倒なので、
初めに目のあった人の好さそうなおっちゃん、君に決めた!
あ、でも一つ思ったことがある。
ここにいる人たちには、あまりボったくられたことがない。
そう、できるだけ高い値段で売って、得をしようと考えている人はここにはあまりいない。
それがとても新鮮だった。
だってここは中国だから。
さすがにここまでくる外人の観光客はまだ少ないから、
外人料金というのが存在していないだけなのかもしれない。
この辺でとりあえず、日帰り旅行先として有名らしい初渓土楼群景区に連れて行ってもらうことにした。
バイク半日チャーターで140元。往復2000円くらい。
世界にもはや秘境なんてものは存在しない。
どこに行ったって、行くべきところ、見るべきところはだいたい決まっている。
まず初めに行くところはここ、次にここ、時間があればここ、少し足を延ばせるならここ、秘境にいくならここ。
地球には人間が多すぎて、どこもかしこも踏破されきっている。
僕らが秘境を見つけたいなら、宇宙にでるしかない。
誰も行ったことがない、レアで素敵な場所なんて、探すだけ無意味。
今の僕のニーズに合ったところ、それが初渓土楼群景区らしい。
近いと思ってたのだけど、結構遠い。目的地まで32km。
バイクで突っ走っても30分くらいかかる。歩いていくのは到底無理。
できることなら自転車で行きたかった。でも、欧米人がいないところに自転車はない。
サイクリングなんて文化は中国人には無い。
やっぱりバイタクは気持ちいいね。
車もあんまり通っていない田舎の道を、風を切って突っ走る。それだけで、気分最高。
そして到着。
思えばずいぶん長い道のりだった気がする。
香港を出発して、ここまで来るのに、46時間かかった。
実質的な時間距離で言えば、ここはニューヨークよりも遠いし、リオデジャネイロより遠いのかもしれない。
100歩譲ってもらって秘境に来たって言っていい?